顧客に対して自社の製品・サービスの購入や契約を促す営業職。未経験者でも活躍できますが、人によっては向き不向きが大きく関わる職種でもあります。
せっかく内定をもらった営業の仕事をこんなに早く辞めてもいいのか?と悩み、「石の上にも三年」という言葉もあることから、仕事を辞める決断に苦しむ新卒者が多いのも現状です。
そこで今回は、「営業向いてない」と悩み続けるあなたに向けて、新卒1年目で営業職を辞めても大丈夫なのか?について徹底的に解説していきます。
新卒で営業を辞めたいと思う理由
Yahoo!知恵袋などSNSに寄せられている口コミでは、
- 「契約取れない」
- 「生保の営業ノルマがきつい」
- 「休暇が取れずうつ病になりそう」
といったネガティブワードが溢れており、営業職を辞めたい人や転職を考える人は少なくないようです。
ここでは、新卒で営業を辞めたいと思う理由をチェックしていきましょう。
現実と理想のギャップに打ちひしがれる
学生時代に優秀だった人にありがちなのが、現実と理想のギャップに苦しむパターンです。
「自分は優秀な営業マンになる」という明確な目的をもって入社したのに、実際に業務を経験してみると一筋縄ではいかないことも多く、自身の実力とのギャップに心が折れそうになることも。
責任感や向上心の強い人は、理想(成功)の姿に追い付こうと必死で努力しますが、営業成績が上がらないという現実を目の当たりにすれば悲観的に打ちひしがれ、仕事へのモチベーションが低下してしまいます。
環境の変化に対応できない
新卒社員は生活そのものが初めてづくしのことも多く、肉体的にも精神的にも疲弊しやすい傾向があります。
仕事では配属先の人間関係に気を遣い、業務内容を覚えるのに必死です。
全国転勤で引っ越せば、初めての土地、初めて一人暮らしなど、仕事以外にも慣れない環境の変化に対応できず疲れを感じやすくなるでしょう。
月日が経てば徐々に慣れ、生活も安定し充実してくることもありますが、最初は環境変化に心が付いていけず、仕事を辞めたいと思う人も少なくありません。
上司から叱責される
営業職は成果主義です。ノルマが達成できない場合は、上司やチームメンバーから白い目で見られることもあるでしょう。
他人に叱責された経験があまりない人は、上司からの叱責は耐え難いものです。
仕事に慣れないうちは、誰でもミスしてしまうものであり、営業成績の伸び悩みや、お客様への礼儀・言葉遣いが不十分なのは当たり前です。
しかし、その度に上司に怒鳴られると自分=ダメ人間なのだと自己否定感が高まり、会社に行くのが憂鬱になります。
長時間労働
営業職は体力勝負です。突然の顧客対応や商談をはじめ、出張やお客様との会食などで長時間労働になりがちです。
顧客対応が済んでデスクに戻っても、資料や書類作成・関係者への連絡などタスクが山積みになっていることも多く、残業することも往々にしてあります。
長時間労働に加えて不規則な働き方も多いため、体力的にきついことが離職理由の1位となっています。
複雑なコミュニケーション
営業マンは、価格交渉やトラブル・クレーム対応などで頭と神経を遣う場面も多く、複雑なコミュニケーションスキルが必要とされるため、ストレスを感じることが多い業務とも言えます。
飛び込み営業やテレアポは非常に勇気が要るものですが、入社したばかりの新卒者は、会社での人間関係も構築できていない状態でやらざるを得ないため、まるで四面楚歌です。
初めての営業先や電話口でクレームを起こし、顧客に怒鳴られることもあるでしょう。トラウマや恐怖感で自信をなくし、仕事を辞めたくなるケースも多くあります。
ルート営業に刺激がない
ルート営業は、すでに会社が取引をしている既存顧客を中心に営業を行うため、飛び込み営業やテレアポのような戦闘態勢からは解放されるでしょう。
その反面、以下のような理由から辞めたくなる人もいます。
- 同じことの繰り返しで刺激がない
- 営業先の顧客と関係作りに苦労している
など
担当タスクをひたすらこなすルーティンワークは、新規開拓がない環境では切羽詰まったプレッシャーはないものの、自分の意見や手法とは関係なく会社規定に則り淡々と業務をこなすため、もっと刺激的で責任のある仕事をしたいと思うこともあるでしょう。
営業は新卒で辞めても大丈夫?
結論から申し上げると、20代の転職には「第二新卒」の枠がありますので、新卒で辞めても問題ありません。
第二新卒の採用枠とは?
第二新卒とは大学卒業後1〜3年で転職する20代のことで、企業によっては若い人材確保のために社会経験の未熟な求職者を積極的に採用しています。
転職市場でも第二新卒者のニーズは高い
マイナビ転職の調査では、半数以上の企業が「新卒(第二新卒含む)採用を中心とした若手人材の確保の重要性が高まる」と回答。
国の調査でも中途採用者が多いことが分かっている
経済産業省関連の報告書によると、これまで新卒が主力とされてきた採用方針から、近年では中途採用・経験者採用も活発に行われている旨が示されています。
新卒で営業職を辞めてもチャンスはいくらでもある
このように多くの企業が第二新卒の採用応募を進めており、新卒で営業職を辞めた人でも転職のチャンスはいくらでもあるのです。
入社して半年ほどで離職するのは気が引けることと思いますが、入社して初めてブラック企業であることに気付くこともあるはず。
ブラック企業に居続けて精神的に病む前に、自分らしく希望や目標を持って生きる選択肢を増やすべきです。もし体調不良やメンタルの不調がある場合は、退職代行を使ってでも辞めて良いでしょう。
退職理由は会社のせいにしないことが大切
退職の意思を上司に伝える際、気を付けるべきポイントがあります。
ネガティブな退職理由はあなたの立場を悪くする
仕事や会社に対する不満で辞めるのが本音であっても、ネガティブな退職理由をそのまま伝えるのはおすすめしません。あくまで自己都合で辞めることが大前提です。
上司も人間ですから、
- 「年収に不満」
- 「残業が多い」
- 「上司と反りが合わない」
などの不満をぶつければ、相手は心証を害するでしょう。会社のせいにして退職すると印象も悪くなり、今後の職探しにも影響します。
辞めることが決まった後の立ち振舞にも注意
同時に退職を決意したら残りの日数は、前向きに過ごすことが大切です。
周囲の人間と気まずくならないためにも、職場(社内)の悪口や愚痴を周囲に話さないよう注意してください。
営業を辞めたいと思う新卒の特徴
新卒者は社会人としての知識や経験が乏しいため、最初から結果が出せなくて当然ですが、営業職を続けるか否かは、個人の性格も向き不向きに影響します。
営業が向かないと感じたら部署異動を請うのも1つの方法ですが、希望選考が叶うのは非常に稀なケースでもあります。
ここでは、営業を辞めたいと思う新卒者の特徴や原因を確認していきましょう。自己分析の判断材料として、参考にしてみてください。
主張ができない
人と話すのが苦手で、自分の意見をうまく主張できない人は、営業マンの仕事を続けるのは難しいかもしれません。
いつもペコペコしているのが営業マンのイメージですが、実は営業の舞台で活躍するためには、顧客の話をよく聞いてニーズをくみ取り、自社の商品・サービスを利用してもらうメリットを的確に伝えなければなりません。
男性も女性も関係なく、自分の考えを相手に分かりやすく主張するスキルは必要です。
切り替えが下手
営業マンは、顧客からさまざまな意見や要望に対応するため、気持ちを上手に切り替える必要があります。
もちろん人間ですから誰でも悩んだり迷ったりするものです。他人の言葉に対して感情(喜怒哀楽)を伴うことは自然なことですが、仕事上では小さい失敗について長々と落ち込んだり、不安ばかりを募らせていても何も発展しません。
お客様の動きを読むのが苦手
営業マンは、会話の中で相手が何かを望んでいるかをくみ取る能力が不可欠です。いわゆる「空気を読む」能力に欠けている人は、営業職を続けるのは困難かもしれません。
お客様の心理的な動きを読むのが苦手な人は、的外れなことを言ったり、相手が不快に思うことを発言してしまうため、お客様との信頼関係を築くのが難しいでしょう。
基礎を固められない
営業の仕事内容は業種によってさまざまですが、以下のような3つの基礎を固めておくことも重要です。
基礎を固められない人は、どんな仕事でも中途半端に終わってしまう可能性があります。以下は、営業職の基礎(一例)です。
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基礎力1ヒアリング力ニーズの発掘、契約につながる情報の引き出しなど
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基礎力2提案力課題解決策の提示、競合他社との差別化など
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基礎力3クロージング力顧客の意思決定にむけた後押し
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上記のほかにも、電話対応、企画力、商談力など必要とされる基礎能力はたくさんあります。
社会人としての最低限のマナーや基礎的な所作がこなせているからこそ、大口の仕事にも応用できるのです。
世間の新卒営業者の声
営業職に不満をもっているのは、あなただけではありません。
世間の営業マンの声を見てみましょう。
1人辞めると次々辞める新卒営業
上記ツイートのように、新卒で辞めたいと思っている人は意外と多いのかもしれません。次々に人が辞めるということは、それだけ過酷な職場環境であることを意味します。
悩んでいる新卒者は、あなただけではありません。実際に退職してみると、意外とほかの新卒営業者も救われる人がいたりするものです。もし本当に辛い思いをしているなら、自分のためにも周りのためにも退職して構わないのではないでしょうか。
ディーラー営業は特に辞めたい声が多い
上記コメントは、Yahoo!知恵袋に投稿されていた内容です。
ディーラーは安い車をたくさん売るという根気が必要な職業であり、コミュニケーション力や保険の知識・電話営業の行動力など総合的なスキルが必要です。
営業職の中でも特にディーラー業界は「つらい」という意見が複数あります。
もし自分のスキルや適性に限界を感じている人は、無理せず退職してほかの仕事を探してみてはいかがでしょうか。
新卒で営業を辞めるときの注意点
パワハラやセクハラが横行しているようなブラック企業に在籍している人は、1日も早く離職するべきです。
ただし、在籍年数が1年以内の場合は、以下のようなデメリットがあることを考慮した上で退職しましょう。
- 失業保険が貰えなくない
- タイミングによっては賞与(ボーナス)がもらえない
- 職務経歴書に書けることがない
- 仕事のアピールポイントが何も書けない
- 退職理由を聞かれても自己反省点ばかり
など
企業側としては、本人のポテンシャル・やる気だけでなく実績や経験もある程度は必要と考えていますので、営業職を辞めてほかの職種(事務職など)を希望したとしても、「今回も早く辞めてしまうのでは?」と思われてしまう可能性があります。
新卒で営業を辞めるのは当たり前の時代
日本経済団体連合会(経団連)の定例記者会見では、「中途採用」の呼称を「経験者採用」に改めており、企業側が新卒者に限らず多様な人材を確保する動きが伺えます。
新卒で営業を辞めるのは、もはや当たり前の時代なのです。
営業職を辞めるということを後ろ向きに考えず、自分の人生をより良いものにすると前向きに考えましょう。