グランドハンドリングを辞めたい原因7選|結婚できない?

羽田空港などで飛行機の誘導を行うグランドハンドリングは、憧れを持つ人が多い職業。

しかし、実際に働いてみると将来性が低いと感じ、グランドハンドリングを辞めたい人は多く、離職率が高い職業として知られています。

今、グランドハンドリングを辞めたいと悩んでいる人は、退職して後悔しないのか、辞めた後に再就職先はあるのかなど、不安を抱えているのではないでしょうか。

そこで本記事は、グランドハンドリングを辞めたい原因と併せて、グランドハンドリングを辞めるメリットなどを解説します。

グランドハンドリングを辞めたい原因

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2023年の国土交通省の調査では、グランドハンドリングの現場作業員構成の約半数が20代です。

若い世代が多い業界なのは20代で辞めてしまう人が多く、30代以降の経験を積んだ働き盛りの世代が少ないのがその理由。国土交通省航空局が公表した調査結果では、調査対象期間の採用者数3,617人に対し1,760人が離職済みとなっています。

2020年から2021年、2022年にかけてはコロナの時期でもあり、離職だけではなく採用を見合わせていたことも現状の人手不足を招いているとはいえ、離職率の高さが気になります。

グランドハンドリングを辞めたい原因とは、一体なんなのでしょうか。

待遇が悪い

国土交通省が公表した調査結果によると、グランドハンドリングに携わる人の平均年収は326万円。

地方や下請けの会社の場合では平均年収が300万円というところもあり、手取り年収は240万~250万円ほど。初任給が月18万円、30代になっても22~23万円くらいにしか増えず、基本給や給与水準が業界全体で低いです。

なお、国税庁の調査では給与所得者の平均年収は443万円となっており、グランドハンドリング(グラハン)は平均を100万円以上も下回る賃金の低さが問題視されています。

休みが不規則

国内線担当の場合は4勤2休を基本的なシフトとしている会社が多いですが、生産性の向上などを名目に5勤1休となるパターンもあります。どちらにしても土日祝が休みの一般的な企業とは異なり、休日が週末に重なったり平日になったりと、不規則になります。

また、正月休みやゴールデンウィーク、夏休みといった長期休みの期間は空港の利用がピークとなるため、有給休暇の取得は難しいところがほとんど。

グランドハンドリングに就いている場合、家族や友人とスケジュールを合わせて旅行に行くというのは実現しにくいため、休みに対する不満が溜まりやすいです。

仕事を覚えるのが大変

グランドハンドリングの業務内容は航空機の誘導、貨物や手荷物の積み下ろし、機内清掃など多岐に渡る上、広い敷地内を車両で移動するため、普通自動車免許の取得は必須です。また、GSE(Ground Support Equipment)と呼ばれる車両機材の運転も覚えなくてはいけません。

業務に必要なGSEの運転資格を取得するまでに5年ほどかかるといわれており、入社から1年は毎日のように新しい仕事内容を覚えなくてはならず、きついと感じる人は少なくありません。

体がもたない

空港によっては24時間勤務があり、交代制で早番や遅番があります。

体力のある20代ならなんとかこなせても、年齢を重ねてくると早番・遅番ともに心身へのダメージが大きくなるのが予想でき、10年後も続けられるのか不安と感じて転職を検討する人は多いです。

近年は、交代勤務や夜勤が心理的に大きなストレスとなり、うつ病などを発症するリスクを高める可能性があると指摘されるようになりました。

寝不足の状態で働き続けるのは、根性や気力で乗り越えられる問題ではありません。

代り映えしない業務

慣れるまでは覚えることが多すぎると感じるグランドハンドリングの仕事ですが、一度覚えてしまうとルーティーンワーク化しやすく、毎日の作業に大きな変化がありません。

淡々と同じ作業を繰り返すのが苦ではない人には向いていますが、刺激がなく、熱量やモチベーションが下がってしまう人が多い職業といえるでしょう。

天候に影響される

グランドハンドリングは、飛行機の誘導や積み荷の上げ下ろしなど屋外での業務がメイン。

夏のうだるような暑さのなかや、台風の日、気温がマイナスを記録する極寒の真冬日でも作業があります。悪天候によって飛行機の到着が遅れると外で長時間飛行機を待つこともあり、天気が大きく影響する仕事。

また、天候不良が原因で飛行機の離発着が遅れても、残業代は出ないことが多いです。

目標実現を妨げる

グランドハンドリングとして働いている人のなかには、ほかにやりたい仕事があったものの叶えられずに、次の夢であったグランドハンドリングに就いたケースもあります。

また、グランドハンドリングが当初からの夢であったとしても、働いているうちにほかの仕事に興味を持つパターンもあるでしょう。

どちらにしても、将来グランドハンドリングとは別にやりたい仕事がある人にとって、勤務や休日が不規則な日々は就職活動や資格取得に向けた勉強がしにくいのが現状。

それならすっきりと退職をして、新しい夢に向かって進みたいと思う人は多いです。

結婚したいならグランドハンドリングは辞めるべき

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愛があればどんな状況でも乗り越えられると思ってしまいますが、結婚は夢物語ではなく現実です。

いくら愛があっても、お金がなければお腹は膨れません。好きな気持ちだけでは、生活は成り立たないのです。

そもそも、彼氏がグランドハンドリングの仕事をしている場合、休みが合わずにデートも満足にできていないのではないでしょうか。結婚する前から、2人の関係が破綻しやすい状況なのが目に見えているのです。

恋人がグランドハンドリングの仕事をしているのであれば、本当にこのままでいいのか、一度立ち止まって考えてみましょう。

空港近くに住む必要があるので家賃負担が大きい

グランドハンドリングの求人では、交通費の支給制度がある会社がほとんど。

そのため、遠方から通うのは問題がありませんが、交代制の勤務を考えると空港から近い場所に住むほうが体力の温存に役立ちます。

同様の理由でパイロットや客室乗務員(キャビンアテンダント)や管制官、飛行機整備士などの空港従業員も空港近くに住宅を構えているのが多く、空港周辺のアパートやマンションは常に需要がある状態。加えて、航空業界に勤める人の多くは高給取りの職業なので、家賃は高めの傾向に。

グランドハンドリングの給料では、必然的に家賃の割合が大きくなってしまい、大きな負担となります。

安月給なので将来を見据えづらい

恋人がグランドハンドリングとして働いている場合、結婚しても年収が増える可能性は低いです。

グランドハンドリングの仕事にやりがいを感じている相手の気持ちを尊重するなら、低収入でも我慢して暮らさなくてはいけません。

恋人の収入が少なくても、自分がその分働いて支援すればOKと思うかもしれませんが、女性は妊娠や出産があります。常に二馬力で働く状態を想定していては、人生設計が容易ではありません。

将来の選択肢が大幅に狭まる

結婚をしたら将来は2人の子どもがほしい、子どもをゆったりと育てられる家がほしいなどと思うでしょう。

しかし、子ども一人を育てるには2,000~4,000万円が必要であり、一軒家の全国平均価格は3,000万円台~4,000万円台といわれています。

グランドハンドリングの仕事で子どもや家を持つのは、かなり難しいと言わざるを得ません。

グランドハンドリングを辞めるメリット

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グランドハンドリングを辞めようか悩んでいる人の多くは、辞めた後のデメリットに意識が向いてしまい、メリットをあまり考えられていません。

グランドハンドリングを辞めると、次のようなメリットがあります。メリットとデメリットを冷静に比較できれば、グランドハンドリングを辞める決心がつくでしょう。

屋外業務から解放される

天気が悪い日に憂鬱になったり、体がだるいと感じるのは気のせいではありません。雨が降ると気圧の関係で、自律神経が乱れやすくなって落ちこんだりやる気が出なくなるのは、「気象病」と呼ばれる症状が関係しています。

つまり、天気に影響されるグランドハンドリングの仕事は、メンタルの不調になりやすいのです。

働いているときはそれが当たり前だと思いますが、グランドハンドリングを辞めると悪天候時に外に出る必要はなくなり、精神的にかなり楽に感じるでしょう。

安月給を抜け出せる

給料の安さでグランドハンドリングを辞めたいのであれば、迷うことなく辞めるべき。

なぜなら、グランドハンドリングの業界全体が安い給料水準のため、今の仕事を続けている限り、安月給から抜け出すのは難しいのが現状だからです。

新卒でグランドハンドリングになると「どこも同じようなものだろう」と思ってしまいますが、転職によっては今よりも100万円以上年収が増える可能性も。

転職エージェントの会員登録は無料で行えます。豊富な求人情報を閲覧すれば、収入アップのイメージができるでしょう。

過酷な業務をしなくて良い

グランドハンドリングの仕事は、屋外での肉体労働という身体的な過酷さだけではなく、フライト時刻が迫るなかでミスのない作業を行わなくてはいけません。日本は世界最高クラスの定時刻到着率を誇るため、精神的な過酷さも持ち合わせています。

まさに心身ともに削られる仕事なのがグランドハンドリング。退職すれば当然ながら、このようなプレッシャーを感じるのはなくなります。

ちなみにグランドハンドリングの男女比率は男性が8~9割、女性は2~1割と圧倒的に男性が多いです。女性が少ないのは、業務が過酷な点も関係しているでしょう。

グランドハンドリングを辞めても仕事はある

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転職活動において、前職がグランドハンドリングだからといって不利にはなりません。

アパレルでも事務でも、やりたい仕事があれば応募できます。

また、グランドハンドリングの経験が生きやすい事業もあります。選考時にはグランドハンドリングの仕事から得たことを積極的にPRしていきましょう。

警備会社

グランドハンドリングは、航空機が定刻通りに運行されるために作業を行うだけではなく、航空機並びに乗客や貨物の安全な離発着にも携わっています。

こうした経験は、セキュリティー意識を持った人格を育てやすく、警備会社で警備員として働くときにも役立つでしょう。

グランドハンドリングを辞めても空港内で働きたいからと、空港の警備会社に就職する人もいます。

物流会社

グランドハンドリングは、貨物の運び出しや積み荷でリフト車やけん引車、高所作業車などの資格を取得します。

これらの免許は倉庫管理や運送業務にも使えるので、グランドハンドリングを辞めた後の再就職先として物流会社や運輸会社を希望する人は多いです。

イベント会社

飛行機が定刻通りに運行されるには、グランドハンドリングとして働く人がそれぞれの役割をしっかりと果たすだけではなく、連携が必須となります。

自分の動き以上にほかの人の動線を気にしながら作業を進めていく経験は、チームワークや協調性が欠かせないイベント会社での業務で重視される部分。イベント会社の面接でも、強みとしてアピールできるでしょう。

同様の理由で営業職への転職も有利となり、活躍の場を広げている人もいます。

グランドハンドリングが向かない人の特徴

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グランドハンドリングに限らず、どのような仕事であっても「やりたい」と強く思っても、実際には向き不向きがあります。

グランドハンドリングに就職するまえに、自分は向いてる人なのか自己評価で確認してみましょう。

体力に自信がない人

グランドハンドリングは、貨物の取り扱いなどで体力を要する場面が多く、悪天候でも業務を遂行しなくてはいけません。

また、体力勝負の仕事である上、健康管理もしっかりと行う必要があります。

空港という場所柄、海外の感染症の罹患者と接触する可能性もあります。日ごろから風邪を引きやすい、急な体調不良になりやすいなど健康に不安要素がある人は向いていません。

変則的な勤務時間を避けたい人

交代制のため、早朝や深夜のシフトもあるグランドハンドリング。

日中に帰宅しても、疲れているからといってすぐに眠れない人もいて、慢性的な睡眠不足を抱えたまま業務を行っているケースも少なくありません。

ずっと夜勤のみで働く場合であれば、長く勤めるうちに体が慣れてくることもありますが、グランドハンドリングは日勤と夜勤が混ざった変則的な勤務となるので、何年経っても慣れるのは難しいです。

十分な睡眠が摂れないと心身のバランスを崩しやすいという人は、グランドハンドリングには向きません。

創意工夫をしたい人

グランドハンドリングは安全確保が第一のため、マニュアルが厳格となっています。作業のひとつひとつに意味があるので、「こうしたほうが効率が良いのに」と思っても勝手に簡略化できません。

そのため、自ら革新をもたらすような仕事を求めている人には、グランドハンドリングは不向きといえるでしょう。

グランドハンドリングは心身ともに負担が大きい仕事

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グランドハンドリングは初任給が低く、昇給もあまり見込めないため、結婚前提の恋人が就いている場合は将来性を含めて検討する必要があるでしょう。

人気の業種とはいえず常に募集をしているので、未経験であっても入社はできますが、離職率を考えると安易に就活で選ぶのはおすすめできません。

なお、グランドハンドリングで少しでも高い給料をもらいたい場合は、JALやANAなどの航空会社が運営しているところが良いでしょう。2社は世界の名だたる企業のひとつであるため、業界では比較的年収は高いほうで、福利厚生もしっかりしています。

また、AKSグランドハンドリングも年収に関しては評判が良い会社。反対に下請けになるほど、給料や賞与は下がります。

このように、グランドハンドリングといっても会社によって口コミは違うので、応募する場合には各社の実績や退職金支給の条件などを必ず確認しましょう。Twitterなどで実際にグランドハンドリングとして働く人をフォローし、情報を得ておくのも良い方法です。

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