仕事を辞めたい人へアドバイスをする4つの重要なポイント!

身近な人(家族・友人・同僚など)から、「仕事辞めたい」と言われたらどんな言葉をかけますか?

SNS上には仕事の悩みや不満が増加傾向にあり、厚生労働省の調査では、20代(20歳~24歳/25歳~29歳)の 約3人に1人が退職を希望、転職エージェントのアンケート調査(2023年時点)では20代~40代の約7割以上が離職について考えたことがあるという回答結果からも、身近な問題であることが伺えます。

しかし、この手の相談はある日突然されることも多く、まともな対応ができなかったり、つい上から目線で指摘やアドバイスしてしまい、余計に相手を苦しめてしまうことも…。そこで本記事では、仕事を辞めたい人にアドバイスする際、気を付けたいポイントや心得について解説します。

仕事を辞めたい人へアドバイスをする際の重要ポイント

昼の街

相談者へアドバイスする前に、意識してほしいことがあります。なぜ相手は、あなたに仕事を辞めたいことを相談してきているのかということです。一般的には、以下の2つが考えられます。

  • 仕事の不満を聞いてほしい
  • 自分の決断決意に対して背中を押してほしい

原因を探ろうと、相手にしつこく尋問するのはよくありません。まずは相手が安心して話しやすいような雰囲気を作り、本人が置かれている状況や原因を整理していくことが大切ですが、そこで最も重要なポイントは相手の話を「傾聴」することです。

相手の言葉に耳を傾ける

相談を受ける側として大切なのは、「聞き役」に徹することです。相手の気持ちに寄り添って耳を傾けるスキル(=傾聴力)は、一朝一夕で身に付くものではないものの、「聴いていますよ」というメッセージを全身で伝えることは可能です。

相手が話している際は途中で口を挟まず、相槌を打ちながら献身的に話を聴いてみましょう。あなたの知ろうとする姿勢が安心感を与え、相手は冷静に話せるようになります。

相手が考え込んでしまい、すぐに答えが出なくてもいいのです。気持ちを聞いているうちに、少しずつ原因らしきものが見えてくることも(見えてこないことも)ありますが、手探りで感じとれるような対話を意識することが大切です。

相談者の話を聞いているうちに

  • 「あなたよりも辛い経験をしている人はいる」
  • 「ただの甘えや逃げだろう」

などと思っても、激励や指摘は逆効果。

上から目線でアドバイスされたと感じた瞬間、相手の気持ちがあなたから離れてしまうことも。

一般論ではなく背中を押す言葉をかける

相談者はいわゆる「一般論」を求めていません。例えば以下のような一般論は、相談者自身も自問した上で相談してくる場合が多くあります。

  • せっかく大企業に入社できたのにもったいない
  • この程度で辞めるなんて社会人として甘えている
  • 後任がいないのに辞めたらお世話になった周囲の人が困る
  • 子どもも幼いし仕事を辞めたら家族が苦しむだろう
  • 仕事内容を変えてもらえるよう人事に相談してみよう
    など

もし相談者が単に仕事の不満を聞いてほしいだけなら、相手の気持ちに寄り添い共感してあげましょう。一方で、精神的に疲れた相談者が仕事を辞めるつもりで相談してきた場合は、「辞めても良いんじゃない」と背中を押してあげる言葉をかけてあげてください。

仕事を辞めても人生は続きます。本人が新たな人生のステージに進めるような声かけが大切ですが、話がまともにできないほど心が疲弊している場合は、然るべきところにつなげることも必要です。

精神的にダメージを負っているなら精神科受診も勧める

もし相談者が、仕事のストレスで心身の不調を引き起こしている場合は、精神科やメンタルヘルスの専門機関へ受診を勧めましょう。

例えば以下のような症状がある場合は要注意。診断結果を元に、相手の心身の状態変化を見守っていく必要があります。

  • 何に対しても意欲が湧かない
  • 集中力が続かず単純なミスが続く
  • ちょっとした言葉でひどく落ち込む
  • 人目が気になり怖いと感じる
  • 食欲が全くないor大量に食べてしまう
  • 動悸や息切れ、めまいがする
  • 神経が過敏になり、ひどく緊張したりすぐに動揺する
    など

心療内科やカウンセラーなどの専門家に話を聞いてもらうことで、自分が悩んでいることを客観的に知り、退職するかしないか早いタイミングで判断できるでしょう。

自分のことを自分で理解しているつもりでも、意外に分かっていないことも多いものです。うつ病が重症化する前に、専門家による適切なアドバイスを乞いましょう。

診断や専門家のアドバイスもおすすめする

仕事が辛いと感じている相談者が第三者の声(診断や専門家のアドバイス)を参考にすれば、課題が明確化したり新たな考え方や適切な対処法に出会えるかもしれません。

WEB上には手軽にストレス診断を行ったり、転職・離職相談について各種専門家の助言コラムが閲覧できるサイトもありますので、ぜひ活用してみましょう。

項目 内容
転職エージェント
  • 求職者の転職活動を一貫して人材派遣をサポートする民間サービス
  • 各業界、職種に精通したプロのキャリアアドバイザーが最適な企業や業種を提案
総合労働相談センター
日本労働組合総連合会
  • 労働者が働きやすい環境をサポートする組織
  • パワハラやセクハラなどに関する悩みが相談可
NPO法人労働相談センター
  • 労働者と経営者の間の中立的立場でなく、完全に労働者側に立った支援
  • ブラック企業、労災、パワハラ、サービス残業などの相談可

人材派遣・求人情報を提供する転職サイト・エージェント(マイナビ・ハタラクティブなど)は、学歴や職歴に関係なく、正社員経験や未経験でも利用できます。

相談方法は、電話・メール・訪問が可能ですので、その人に合うやり方で利用してみましょう。

仕事を辞めたい人へのアドバイスは関係性で異なる

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相談者が仕事を辞めたいと思っている理由は、育児、親の介護、スキルアップ、キャリアアップなど前向きな理由もあれば、社内の人間関係の悪化・いじめ・残業の多さ・報酬の不満などネガティブ要素も多くあり、あなたがどんな立場かによって対応の仕方が異なります。

5つのパターン別に、寄り添い方を確認していきましょう。

上司なら環境改善を目指して要望に寄り添う

もしあなたが上司で、部下から「仕事を辞めたい」と相談された場合は、働きやすい仕事環境や社風を見直すチャンスでもあります。

SNSでは「就職して慣れてきた頃に、何の前兆もなく退職届を出す部下がいて焦った」「辞めたい人を説得させる交渉術や成功法が知りたい」という意見もあり、多くの上司も試行錯誤している模様。部下が現状に対して不満を溜め込んでいるなら相手の要望に寄り添い、可能であれば改善を図る前向きな姿勢(努力)も必要です。

ちなみに、職場における不満ランキングなどでは、以下のようなことが挙げられています。

  • 給与収入
  • 待遇条件
  • 実績評価
  • 業務内容
  • 部署異動
  • 就業規則
  • 将来への不安
    など

特に上司と新卒部下の「世代間ギャップ」は、過ごしてきた時代背景や経済状況が違うため価値観に差異が出てしまい、考え方の衝突が生まれることがあります。自分の価値観を押し付けるのではなく、部下の価値観について深く傾聴するところから始めましょう。

以下は、部下に対する声かけの良い例と悪い例です。

悪い例 良い例
どうした?黙っていちゃ分からないだろう! 辞めるって言っていた件、ゆっくり話を聞かせてほしいな
なんですぐに相談してくれないんだ? いつも私が忙しそうにしてたから、相談しにくかったんだね
君はこういうところを直した方がいいよ! 私も偉そうなことは言えないんだけど…

言うまでもありませんが、上司という立場であっても部下への謙虚な声かけが大事です。従業員が働く環境が改善されれば、やる気につながり社員の離職率が低下する可能性は大いにあります。部下の悩みを解消し、円満な職場環境を整備することが、翻って自分や会社の未来を守ることにもつながっていくでしょう。

同僚は相手の本心に同意する

相談者の同僚であるあなたは、仕事の状況や心情を理解してあげられる貴重な存在です。もし同僚から相談を受けた場合は、相手の本心に同意し肯定してあげましょう。不満や不安を口にしてあなたからの共感が得られば、辛い気持ちも随分緩和されるはずです。

しかし、相手の本心に同意しつつも、本音としては「仲の良い同僚が辞めるのを阻止したい」と思うこともあるでしょう。つい「もう少し一緒に頑張ろう」と声かけをして相手を引き留めてしまいたくなりますが、相手の言い分やこれからの予定をじっくりと聞いて、相手が自分で最終決断ができるよう勇気づけてあげることが大切です。

退職・離職の前の在職中に一定期間休職したり、体調に支障がない範囲で余裕があれば、職業訓練給付金をもらいながら資格取得の勉強を始めてみるなどの選択肢も視野に入れて、提案してみてはいかがでしょうか。

リフレッシュに付き合えるのは友達ならでは

友だちが仕事に疲弊している場合は、休息を提案して相手と一緒に好きなことができる時間を作ってあげましょう。有給制度を活用するなどして仕事と距離を置き、普段できないことにチャレンジ体験してみると、相談者の気持ちがすっきりし「自分は本当に辞めるべきなのか?」と冷静に考えられるかもしれません。

辛い現実から距離を置く方法として、以下のようなリフレッシュがおすすめです。

  • 一緒に映画を鑑賞する
  • テーマパークの絶叫マシンに乗る
  • 日帰りや2泊程度の旅行に出かける
  • 登山やマリンスポーツなどに挑戦してみる
  • マッサージやリラクゼーション、温泉など癒やしの場所へ行く
    など

注意点としては、気の置けない友人だからと自分の考えを押し付けるのはNG。一方で、仕事を継続するか退職するか、それぞれのメリット・デメリットを洗い出したり、本人のやりがいを一緒に探し出すことはOK。その際、最終決断を出すのは、あくまで本人の意思であることを忘れずに。

家族に相談されたら逃げ道へ導く

家族から仕事を辞めたいと相談された場合、つい叱咤激励したくなるものですが、一旦冷静に受け止めましょう。家族は一番身近な存在でありながら、実は一番相談しにくい相手とも言えます。なぜなら、あなたに相談する前に、本人は以下のようなことを既に自問しているからです。

  • 自分が仕事を辞めたら、家族に迷惑をかける
  • 今後の生活費をどう賄っていくか
  • 頭ごなしに怒られそう
  • 意見の違いで喧嘩になりそう
    など

そこであなたは勇気を出して相談してくれた家族を認め、「今の状況から逃げても良い」ことを伝えてあげましょう。仕事を辞めたい理由は様々(担当プロジェクトの失敗、直属の上司との関係悪化、労働環境の不満など)ですが、逃げ道があると思うだけで心がラクになるものです。

以下は仕事を辞めたい家族に対する声かけを、簡単にチェックしてみましょう。

悪い例 良い例
仕事辞めてどうするの? あなたにできる仕事はほかにもあるよ
その程度で辞めるの?我慢が足りないんじゃない? あなたが我慢して働いているのを見ると私(僕)も辛い
みんな頑張って働いているんだよ! 私(僕)ができる限りサポートするから、ゆっくり休んでいいよ

家族が離職するとなると今後の生活(お金)が心配になりますが、続けたくない仕事を無理に我慢させる方がリスクが大きいものです。相談者が家族のことを気にせず自分で答えを見出せるよう、優しく見守ってあげましょう。

好きな人や恋人には優しく受け入れる

仕事を辞めたいと言ってきた彼氏/彼女が求めていることは、自分が置かれている辛い状況を理解して優しく包み込んでくれることです。相手が年上でも年下でも同じです。

恋愛メディアや恋愛本などでは、女性は共感を求める生き物と書かれていることが多く、男性に共感は必要ないかのように思われがちですが、男性もしんどさ、辛さ、恐れ、孤独感といった負の感情を共感してほいもの。

希望しない部署への移動でモチベーションが低下したり、営業成績が悪化して目標達成が実現できず、自分自身の能力が劣っていると感じてプライドが傷ついている場合もあるでしょう。

傷ついている恋人の気持ちを無視して自分の考えを一方的に伝えるとケンカになり、最悪の場合には別れることになりかねません。まずは恋人の話をしっかり聴き優しく受け入れ、転職を決めたのであれば快く背中を押してあげましょう。良い関係性が続けば、転職先でのことも気軽にあなたに話してくれるはずです。

仕事を辞めたい理由によって適切な言葉を選ぶことが大切

昼の街

相談者が何を思って「辞めたい」と言い出しているのか、まずは話を聞いて深く知ろうとする姿勢が重要。そのうえで相手に合った適切な言葉を選び、メッセージを発信していくことが大切です。

以下は、仕事を辞めたい部下と上司の会話例です。辞めたい理由ごとに3つのケースを紹介しています。コミュニケーションに正解はありませんが、適切な言葉選びのポイントや注意点をチェックしてみてください。

先輩社員に対する不満から辞めたい

部下
部下

先輩社員に書類の書き方を聞いても、全然教えてくれないんです。

上司
上司

そうだったんだね。
繁忙期で気付いてあげられず申し訳なかった。


 

部下
部下

この前、先輩Aさんに、「やり方は盗んで覚えろ」「提出資料の作成はもっと慎重に」「次に失敗したら昇給はないから」と怒鳴られたんです。

上司
上司

それはよくないね。
Aさんにも私から言っておくよ。再度同じようなことをされたらまた相談して。私もAさんに話をするから。

上記のように、まずは相手が苦しんでいることに気付いてあげられなかった点を自ら詫びることがポイントです。また「私も〇〇するから」という具体的な言葉で、まずは自分が行動する姿勢を見せることも信頼関係を築く上で必要なことです。

必要以上の飲みニケーションが辛くて辞めたい

 

部下
部下

毎週のように先輩職員に飲みに誘われるのが嫌なんです。

上司
上司

嫌だったら断って構わなんだよ。
私も今度からフォローするよ。

まずは部下の価値観(飲み二ケーションが苦手)に理解を示そうとする姿勢が重要です。その上で、仕事中では話せないことを相談したり、良好な人間関係を築きたいという先輩職員なりの考え方があることも、さり気なくフォローしましょう。

やりたい仕事と違ったので辞めたい

部下
部下

仕事の内容が入社前のイメージと違ったので辞めたいです。
今の仕事は私に向いていないみたいです。

上司
上司

そうか。
どんな仕事をイメージしていたのか、話してくれる?

部下自身、自分でもやりたい仕事のイメージを掴んでいない場合もありますので、話しながらはっきりとした目標・目的が見えてこない場合は、どんな点が不満で辞めたいのか本当の理由を探りましょう。

相手を説得して自分の思い通りにするのではなく、話を十分に聴いてあげるだけでも相談者は心境を整理しやすくなり、辞めたい気持ちが軽減することがあります。

仕事を辞めたいと相談されたらアドバイスをしながら答えを導く

昼の街

仕事を辞めるかどうかを決定するのは相談者自身であり、あなたは「伴走者」であることを忘れてはなりません。仕事を辞めたいと相談されたら、相談者の本心(不満を聞いてほしいor背中を押してほしい)を見極めながら、その人が自分で答えを見出せるように状況を整理してあげましょう。

在職中に転職サイトに登録応募してみるのも良いでしょう。キャリアコンサルタントが本人のペースに合わせてスケジュールを作成。履歴書を確認し、離職事情を考慮しつつ本人の希望(就業時期・年収・労働時間・興味など)や性格のアピールポイント(努力家・営業or作業向きなど)を考慮しながら一緒にキャリアプランや面接対策を行います。

もし自分たちだけで解決できないような精神的な問題がある場合は、躊躇せず公的機関や専門家につなげることが大切です。早めに専門家によるカウンセリングを受けることで、自分らしさや自信を取り戻すきっかけ(ヒント)が得られるかもしれません。

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