退職理由親の介護は、正当な退職理由なのでしょうか?
実際に親の介護で退職する場合、上司への伝え方にもコツが必要です。介護や病気のことを他人に話すのは少し気が引けますが、本記事で退職理由に親の介護を持ち出す際の注意点を紹介しているので、指南書としてぜひ目をとおしてください。
退職理由が親の介護のときの伝え方
親の介護を退職理由にする際には、具体性を伝える部分とあえて情報を隠す部分の2つの注意点を遵守しましょう。
退職理由親の介護は、引き止められにくい退職理由として非常にメジャーです。
間違いなく仕事を辞めるためにも、両親の介護で仕事を辞める際の正しい伝え方を以下で学んでください。
病名は伏せて退職を報告する
親の介護のために仕事を辞める際には、親の病名を伏せましょう。深刻さを伝えるために家族の病名を伝える方もいますが、病気や体調不良はデリケートな問題なのであえて隠したほうが無難です。
もし会社側に突っ込んで病名を尋ねられても、「プライベートなことなので」で通してください。
親の病気を面倒見るという退職理由は、一身上の都合という単語で十分な退職理由です。会社側からの具体性開示を拒否しても失業保険はきちんともらえるので安心してください。介護は自己都合ですが、失業保険の対象です。
退職は揺らがないと告げる
根本的な退職理由が親の面倒を見るからであっても、退職の意志は固いとキッパリ意思表示してください。中には介護休暇取得を勧めてくる上司もいますが、決して揺らがず退職を押し通しましょう。
低姿勢で伝えるとまだ会社に残ってくれるかもと思われるので、毅然とした態度で退職を申し出てください。上司の顔色を伺うように伝えるのではなく、正々堂々と権利を主張するスタイルでの報告が大事です。
付き添いが必要なら転居の旨も伝える
退職を切り出すと本当に仕事を辞める必要があるのかと上司が疑うケースもありますが、転居すると伝えれば大抵スムーズに退職手続きに移れます。介護に専念するため実家に帰ると具体性を匂わせることで、上司の納得を得やすくなるでしょう。
会社側の環境のせいにすると改善交渉をされるので、あくまで自分の意思で退職すると伝えてください。付き添いがないと生活できないくらい重症だということが分かれば、会社側もこれ以上引き止めないはずです。
疑われたら病名を伝える
病状や病名を具体的に伝えると、上司の引き止めにも合わず滞りなく退職できます。
退職を伝える段階で親の病名を伝える必要はありませんが、疑いをかける上司がいたら迷わず病名を伝えるべき。
大げさに感じますが、病名を伝えて現在の病状をリアルに話すことであなたの退職がいかに家族間で重要か上司も理解を示すでしょう。親の介護で辞める際に重要なのは介護で退職する事実よりも、上司を納得させられる深刻さを含んだ回答です。
いきなり病名を明かす必要はありませんが、段階的にどれくらい親の病気が重いのか開示しましょう。経済面の心配など余計なお世話を焼かれたら、介護休業を申請しますなど建前で上手く交わして問題ありません。
診断書で説得力を増す
上司が若くて介護経験がない場合、介護の大変さを理解してくれない可能性が高いです。
確実に素早く辞めたいなら、医師の診断が記載された診断書を提出しましょう。診断書には病名だけでなく、本人の病状も記載されています。
認知症や要介護対象認定を受けているなら、診断書を出せばいかに重篤か伝わるので退職に有利。
診断書は必ず必要なわけではありませんが、退職の後押し要因として準備しておくと便利でしょう。同時に退職届も作成しておくと尚安心です。
退職理由親の介護はれっきとした退職理由
親の介護を理由に辞めるのは社会的に許されるのか気になる人も多いと思いますが、心配は無用です。親の介護で退職しても特段問題ありません。
親の介護で辞めるのが許される理由を、下記で解説します。
親の介護で辞める人は多い
現代は親の介護で仕事を辞める人がとても多いです。以前は女性のパートタイム雇用による介護離職が一般的でしたが、昨今は正規雇用でも親の介護で退職する人が後を絶ちません。
高齢化という背景によって介護離職がメジャーなものになっているので、もし親の介護で辞めるのが正しい選択なのか悩みを抱えているなら過度な心配は不要。バックレや無断欠勤は厳禁ですが、堂々と親の介護で辞めますと宣言しましょう。インターネットには親の介護で辞める際の例文なども閲覧無料で記載されているので、ぜひ事前にチェックしてください。
仕事と介護の両立は難しい
介護は気力体力共にタフでないと務まりません。あなた自身の健康あってのことなので、仕事と介護を両立させようと頑張り過ぎて体調を崩したら本末転倒。介護と仕事を両立させるのは、思った以上に大変です。残業が多い会社だと尚更ストレスが大きいでしょう。心身のバランスを崩す前に親の介護で辞めるのは、逃げでも甘えでもないのです。
介護に専念するとお金もかかりますが、失業保険を受け取りながら常識の範囲内でやりくりすれば生活費など経済面はどうにでもなります。介護施設の利用が難しい方は、潔く退職して自宅に長居したほうが安心です。介護を理由に仕事を辞める際は、迷わず退職の意志を素早く上司に伝えましょう。
会社側は家庭の事情に深入りする権利なし
介護離職は一身上の都合なので、会社側が首を突っ込む権利はありません。親の介護など一身上の都合で辞めると言われたら、基本的に企業側は労働者にそれ以上深入りできないのです。
具体的に親の病状を話さなければいけないのだろうかと不安に思っている方は、安心して退職を切り出してください。
原則詳しく話さなくても辞められる
退職理由が何であれ、基本的に状況を詳しく話す必要はありません。全体をオブラートに包んで「一身上の都合で」と言っても良いですし「親の介護のため」と大雑把な説明でも、仕事を辞めることは可能です。
端的な理由でもやむを得ない事情と判断されれば、本来はスムーズに退職できます。
もし信頼している上司や社長に少し具体的に話したいなら「ほかの方には伝えないでほしいのですが」とワンクッション置くと良いでしょう。
必要以上に退職理由に深入りしてくるのはブラック企業の特性なので、退職代行サービスを使って強制的に辞めても問題ありません。退職代行は担当弁護士があなたの代わりに退職交渉をしてくれるので、高確率で退職できます。
退職代行サービスで数日以内に退職できた方もいるので、なんとしても辞めたい場合はおすすめの手段です。
協力を得たい場合は話す手もあり
職場の待遇に不満がなく不本意ながら退職を考えているなら、現在の状況を話すのも一つの方法です。病状を説明すれば勤務先が業務内容軽減など解決策を示してくれる可能性もあり、現職に残るという選択肢も浮上します。
現在少しでも職場への残留を考えているなら、状況を少し具体的に話して職場の協力を仰ぎましょう。特に入社したばかりで勤務日数の浅い新卒は、いきなり退職を希望せず会社と相談するのがおすすめです。
親の介護で退職する際のメリット
介護離職には、精神的なメリットと経済的なメリットがあります。
以下が、親の介護を理由に退職する際のメリットです。
- 精神的負担が減る
- 介護費用を削減できる
仕事をしながら介護をしていると、家族を放って働いている自分に罪悪感が湧きます。施設を活用する程お金がない方は、余計介護と仕事に板挟みされがち。
潔く退職すれば介護に専念できるので、精神的なストレスから解放されるでしょう。
デイサービスなどの制度を利用すると、利用料金は発生しますが、介護用品にかかる費用は省けます。働きながら全て自腹で賄うのは経済的に大きな負担になるので、離職して介護に専念すれば心にもお財布にも優しい環境を整えられるでしょう。
昨今は介護に対する支援も手厚いため一人で介護問題を抱える必要はないのです。介護保険の申請を検討しても良いでしょう。
親の介護で退職する際のデメリット
親の介護で辞めると、将来に関するデメリットに悩まされることになります。メリットがあればデメリットもあるのが当然ですが、介護離職のデメリットはややシビアなもの。
- 収入源がなくなる
- キャリアを失う
- 将来の不安による精神的ダメージが大きい
上記が親の介護で仕事を辞める際のデメリットです。
親の介護は1年~10年と長期間に渡る行事で精神的負担が大きいのが事実。介護離職を申請してから正社員として再就職した人は少ないです。年齢的に求人に制限があり、転職エージェントを使用してもその後素早い再就職が難しいケースが多数。
デメリットがあったとしても結果的に退職したほうが生活における負担は少ないですが、一度メリットとデメリットを冷静に見据える時間も必要でしょう。
転職活動時に面接で介護離職したと伝えると採用でやや不利になるので、転職時のこともしっかり考えて退職を決意してください。
親の介護と嘘をついて退職しても問題はない
本当に親の介護をするために仕事を辞めるのではなく嘘の理由として親の介護を申し出る人も多いです。
結論から言うと、親の介護と嘘をついて辞めることは問題にならない可能性が高いと言えます。
2024年時点の民法では、次のとおり退職時期を伝える必要はありますが、退職理由まで伝えなければならないとは記載がないためです。
民法 第八節 雇用
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
当然相手に建前がバレないような根回しは必要ですが、退職理由に真偽は関係ないと言えるでしょう。
仮に嘘がバレたとしても、退職金減額など罰則は一切なしになる可能性が極めて高いです。
従業員が家庭の事情で辞める際会社側は深入りする権限がないので、すぐに退職したいなら親の介護と嘘をつくのも選択肢のひとつでしょう。
- 結婚
- 引っ越し
- 親の介護
上記は、どうしても仕事を辞めたいときに建前として使える便利な退職理由です。
親の介護で退職する際も就業規則は守って
下記は、親の介護で辞める際の注意点を記載したYahoo!知恵袋の質問と回答例です。
親の介護などやむを得ない事情であっても、離職時は就業規則を必ず守るのが条件。就業規則に基づいていない辞め方だと必要書類を催促される可能性があります。
身内のことを上司に具体的に話すのは気が引けるという方は、退職時に揉めないように事前に就業規則を確認してください。ルールを守っていれば退職理由が何であれ詰め寄られる可能性は低いです。早期退職の必要があっても、引き継ぎをきちんと実施してください。
もし上司に深入りされても無視で構いませんが、ほかの退職理由と同じように退職の手続きは尊重しましょう。上司との人間関係に悩んだからといってバックれたり違法性のある辞め方をするのは厳禁です。やむを得ない事情があったとしても、会社に残される人達の気持ちも考えて円満退社を貫いてください。今後転職活動することになったら面接官には本音を伝えず上手に建前を述べるのがベターです。
正直に話せば親の介護で仕事を辞められる
親の介護で退職する場合、ある程度正直に話しましょう。病名や症状を最初から具体的に話す必要はありませんが、状況によっては丁寧に説明する必要があります。
身内のことなので話しにくいものの、介護で辞めるのは恥ずかしいことでも甘えでもないのです。誠意をもって話せば、上司は退職を快く受け入れてくれるでしょう。
もし退職を引き止められたら、診断書を提出してください。病状が一目で分かる診断書は親の介護で辞める際に非常に便利なアイテムです。親の介護で退職するなら、段階的に徐々に現状を開示すると覚えておくと便利でしょう。
昨今は介護で仕事を辞める人が急増しています。少し前は退職理由に介護を持ち出す正社員が少なかったのですが、多様性が認められる現代は介護のために実家に帰る正社員も少なくありません。雇用形態に関わらず介護離職はれっきとした退職理由なので、躊躇せず申し出ましょう。